ボンビーおやじ

2017.12.07 Thursday

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    母がまだ健常だった頃、家族で帰省した時のことです。台所で洗い物の片付けをしていた家人が、キッチンの上に畳んで置いてあった台拭きを手にしました。目ざとくそれを見つけた母は「それ触ったらイカンイカン」と言いながら、慌てて台拭きを取り上げようとします。でももう遅い。家人は既に台拭きを拡げておりました。それを見て、一同しばしの間大爆笑。

    件の台拭きは実に、食パンの耳だけを残したような、即ち外枠だけが残った台拭きだったのです。新しい台拭きやタオルなど山ほどあるのですが・・・。さすが戦中派。顔を赤らめた母は、家人からそれを受け取るやポイッとゴミ箱に捨てたものです。そして再び皆で大笑い。

     

    そんな家庭で育ったからでしょうか、私もかなり貧乏性な日常です。他人様に申し上げる筋のものではないのですが、2〜3例を挙げてみましょうか。何の参考にもなりませんが。

     

    最近、しばしばパソコンで文書を作ります。そして言いぶりや文字などを確認するため、或いは校正のために何回かプリント・アウトします。こんな時には、いろんなところから送られて来た資料や書き損じた文書など、裏面が白紙なのをストックしておき、それを使います。用済み後には間違いなくゴミになりますので、裏面使用で十分です。捨てると分かっているのに、新しい紙を使うのは「もったいない」。でも、こんなチマチマした生活してると、銭は寄ってこんですな(笑)。

     

    次の例:退役後に購入した靴を週日はほぼ毎日使いますが、六年半過ぎた今も健在です。私は姿勢が悪いのか足が曲がってるのか、はたまた性格が歪んでいるためか、いつもカカトの外側が極端に摩耗します。従って、もう三回ほど靴底の修繕をお願いしました。最近は都合よく、デパートの何階かに修理のコーナーがあるので助かります。店の方とはもう友達です。「またですか」みたいな。今時、量販店には修理代よりも安い靴が、なんぼでもあります。でも、シマツ(倹約)というよりも足に馴染んだのを履くと、歩き易くてとても気持ちがいいのです。

    二十年以上前、大使館勤務の時に買った革の鞄(ブリーフケース)も同様です。スペインを旅行した時に求めたものです。帰国後、一部が劣化したので修理屋に持ち込んだところ、店員が「お客さん、新しいのを買ったほうが安いですよ」。いやいや、そういうこっちゃないんだよな。勿論、修理してもらい現在も使っています。これなどは、謂わばスペインを旅した記念の品、私の勲章みたいなものです。見る度に当時を思い出します。

     

    笑えるのは傘です。「百均」で買った傘はとても風に弱くて、最近ではほぼ使い捨て状態ですね。電車に置き忘れても、取りに行く人なんかおらんでしょう。忘れ物の集積所まで行く電車賃の方がよほど高い。ですが私は、風で骨がやられるとホームセンターで補強材を購入します。間違いなく補強材の方が高い。私の傘は至るところ補強されており、骨太になってるので5年や10年はもつでしょう。家人は恥ずかしいので、止めてほしいと言います。でもこの傘をさすと心が晴れやかになる。筋金入りの貧乏性ですな。

     

    風呂に入って洗う順番をご存知ですか。これは海上自衛隊に入り、艦乗り(ふなのり)になって先輩から教わりました。船にとって水(真水)は、燃料と同じくらい大切なもの。その命の水を如何に効率よく使うか。まず最初に体を洗う。次に頭を洗うのです。そして頭から水(お湯)をかぶって石鹸を流す。そうするとどうなる?体に付いた石鹸は同時に流れますよね。その分、水を節約できる。これを逆にやると倍の水を消費します。遠い昔は、下着(シャツ)に石鹸をつけて体を洗ってました。もうお分かりでしょう。体とシャツを同時に洗えるということです。衛生上はどうだか知りませんが、死ぬこたぁないですよ。

     

    この教訓から、台所の洗い物をするときには・・・。そう、食後の後片付けは私の役割です。我が家の憲法には、そう書かれとります。「働かざる者ー食うべからず」って昔から言うじゃないですか。食器洗浄機もあるのですが、年寄りふたりの生活では、機械を使うほど汚れものが出ません。まそれはいいのですが、洗う順序はまず箸・スプーン・しゃもじなどの小物。次にお皿類の中物、そして鍋となります。勿論、洗剤をつけて洗います。ポイントは、洗剤を落とす時です。小物を洗っている時には中物・大物を蛇口の下に置いておくこと。そうすると皿や鍋のしつこい油分なども、スポンジで洗う前にほぼ落ちてます。その分、水と洗剤が節約できる。言い訳がましいですが、お金(水道代・洗剤代)をケチっているのではありません。水の消費をシマツしているということ。水だって化石燃料と同じで、永遠ではないかもしれない。そんなことを考えながらやると、皿洗いも結構楽しいもんです。如何かなご同輩!

     

    広島県の江田島に「教育参考館」という、海軍の歴史資料館があります。ここには帝國海軍の生い立ちや、先の大戦で散った特攻隊員の遺書などが多数展示されています。この資料館に一歩足を踏み入れると、背筋がピーンと伸びます。日本人なら、是非とも一度は見学してもらいたいと思います。数ある展示の中に、東郷さん(日本海海戦時の聯合艦隊司令長官)が使った針道具とツギ(繕い)をした靴下を見ることができます。国を救い世界史に残る大仕事をした東郷さんは、官舎にあっては靴下の補修に余念がなかった。東郷さんは達筆で立派な書も展示されてますが、この靴下には及ばないと思う。数々の勲章を佩用した東郷さんは、威風堂々で立派ですが、火鉢で手を温めながら針仕事をする東郷さんはもっとカッコいい。

     

    日本を含め先進諸国は今、飽食の時代です。品物や食べ物が世に溢れている。しかも消費しきれなかった食物が、大量に廃棄処分される。一方で世界に目を転じると、何万人という子供たちが餓死しているという現実がある。私のシマツとボンビーな生き方は、一滴の雫にもならない。それどころか、日本人の多くが私のような生活をすると、経済成長を阻害するという見方もあるでしょう。でも私は、現在の繁栄が永遠に続くとは思っていません。生きとし生けるものを頂いて、人間は今日を生きている。このモノたち(植物や動物)に感謝するためにも、できるだけ慎ましくありたいと思う。

     

    ゴメン 歳がよると説教じみていけません。

     

    【高嶋博視のオフィシャル・ブログ】

    http;//www.umihiro.jp

     

     

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