そもそも国防とは何か(日報問題) II

2018.04.18 Wednesday

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    防衛省・自衛隊の日報問題は、もはや本質を離れて政局となり未だ終息の兆しが見えません。外交・経済・安全保障など重要な案件が山積みの現在、このような形での政治の混迷は国益を損ねるばかりか、国民にとっても誠に不幸なことです。

    政治の世界には、市井の人間には測り知れない思惑やテクニックがあるかと思いますが、関係者は毅然とした態度で向き合って欲しい。学級崩壊のような政(まつりごと)では、歴史ある日本が世界の笑いものになります。やや論理に飛躍があるかもしれませんが、本件(日報問題)に関しもし政治が国民に詫びるとすれば、国家の存立や国民の生命・財産に関わる国防を、曖昧なままにしてきたことではないでしょうか。

     

    自衛隊(警察予備隊)が創設されてからおよそ70年、今日までの長きにわたってその存在や位置づけを曖昧にし、必要の都度小手先の技術で乗り切ってきた。そういうやり方しかできなかったという側面はあると思いますが、そのツケが今きているような気がします。日報問題、このような案件が国会で長々と議論される国は、日本の他にあるでしょうか?勿論、本質的な問題である「戦闘」或いは「戦闘地域」などについては、「世界の常識を踏まえて」大いに議論してもらいたい。

    法的な位置づけが曖昧なまま自衛隊は確実に強化され、今や世界に冠たる軍事組織に成長しました。我々現場の人間は、この入れ物(枠組み)に魂を吹き込むべく、日々訓練を重ね或いは実際の任務を通じて実力を培ってきました。あとは、この実力部隊(武力集団)を如何に使うか、それこそがまさしく政治(シビリアン・コントロール)の役割です。

     

    今国民が何となく感じている不安や違和感は、政府や役所を追及する人々に加え、これと軌を一にするメディアの影響が大きいと思いますが、一方で為政者から明快な答えが出てこないからではないでしょうか。何を言っても聞く耳を持たない人はいますが、正論(正しいこと)を丁寧に説明すれば多数の国民は納得する。正しい情報を国民に提供するのは、関係者の務めであり責任でもありましょう。自衛隊創設から70年が経ちました。何事もステップ・バイ・ステップではありますが、近年の周辺情勢に鑑みれば、もう堂々と正論で議論しても良いのではないでしょうか。数年前に制定・改正された一連の安全保障関連法は、その過程において戦争法などとピント外れで心無い誹りを受けましたが、この国が普通の国になる小さな一歩・前進だったと思います。現在、多くの国民はこれを納得し受け入れています。自衛隊と憲法の関係については各論がありますが、いずれにしても絶対多数の国民は、この国には自衛隊が必要だと認識している。その絶対多数の内のまた絶対多数は、自衛隊は所謂「軍隊」だと思っているでしょう。だからこそ、呼び名はどうであれ、いざというときには自衛隊が自分たちを守ってくれると信じている。

    どんな組織でも問題を小手先の技術で取り繕っていると、どこかで綻びが出てきます。現在の状況は、かくの如しではないでしょうか。

     

    些末な話ですが、現役諸君の退職金や年金は減額の一途だと聞きます。本当にそれで良いのでしょうか。東日本大震災における救援活動を通じて、自衛隊はその認知度と存在感を一気に高めました。その後、今日の不安定な周辺情勢と相俟って、国民の期待と任務は拡大するばかりです。こんなことに自衛隊が出動するのか、と思うようなときもあります。以前に比べて、隊員がかく汗の量は格段に増えています。だから給料も上げよう、予算が苦しい・厳しいのでせめて据え置きにする、というのであれば理解できますが、仕事はドンドンやれ / きな臭い情勢なのでいつ出動命令が出ても動けるようにスタンバイしておけ / だけど給料は下げまっせでは、いくら制服がカッコよく見えても、若い子の目にはブラック(産業)と映るでしょう。そんな渦中に飛び込んでいこうとする若者は、その内いなくなりますよ。既にその傾向は出ています。日本社会の少子化と相俟って、自衛隊はリクルート(若年隊員の確保)に随分苦労している。

     

    以前、「ひとごと(人事)」と題するブログを描きました。先日、かつて仕えてくれた後輩数人と食事をしながら懇談していた時、現在人事に携わっている一人の後輩が「あの記事を読んで涙が出ました」と言った。そう言う彼の瞳はうるんでいた。その言葉を聞いた私も、不覚にも目にゴミが入りました。涙に訴えたいわけではありません。お涙を頂戴したいのでもありません。しかし、前線にいる隊員たちは身を粉にして、家族を犠牲にして国の護りに就いています。現場の隊員は何も言いませんが、応分の処遇をして頂きたい。心からそう思う。

     

    自衛隊員は入隊に際し、その後のキャリアに関係なく一人の例外もなく、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務める」と宣誓します。隊員・部隊を管理する立場にあるポリティックス(政治)は、案件の賛否に関わらず、事(議論)に臨んでは毅然として欲しい。そうすれば、多くの国民は理解し納得する。そして、正しい民意も形成されましょう。要は、どっちを向いて仕事をするかです。

     

    翻って日報問題。この国は普通の国じゃないので、と言ってしまえば身も蓋もありませんが:

    1.作戦行動の記録を曝していいのか?

    2.なぜ記録(日報)が世に出た(漏れた)のか?

    について真剣な議論がなされないことに(この国の)危うさを感じます。

     

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